路地の空に開く家

敷地は下町であり、周辺には狭い路地に沿って建つ木造の長屋が点在している。

この敷地にも長屋が存在しており、東側は狭い路地に面している。

かつての五軒長屋の3軒を切り取り、そこに間口約5m、奥行き約12mの二層分の木造を計画した。

東側の路地の上に余白があることに気づきその余白を活かそうと考え、建物の五分の一程を中庭とし路地の上空から採光を取る計画とした。

外に面しては採光目的の窓は設けずに、1階の採光は中庭を介して路地の空から間接的に取り入れる計画とした。

敷地の南面は切り取った長屋の小口、東面は路地、その他は2階建てや3階建ての住宅で囲まれているが、路地の空を利用し外からは中が見えないように壁を設置している。

そのため、夜でもカーテンのいらない、外からは見えない空間としている。

またこの壁は防火壁の役目もはたしているため、準防火地域でも防火設備を必要としない開口部を設置することができる。

料理を作りながら空が見えるようにキッチンの床の高さを下げている、そのため視線が空まで抜ける空間としている。

路地に将来建物が建つことはないため、空が見える空間は、これから先の将来も変わりなく持続できる。